天空の縁側

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作曲家の目を通して、アートや日々の出来事などをあるがままに綴っていきます。

小田原室内管弦楽団「こどものための音楽会」

10/22 南足柄文化会館で行われた小田原室内管弦楽団「こどものための音楽会」に行ってまいりました。

今回は、楽器紹介にRavelの「ボレロを使うということで、このための編曲と、くるみ割り人形の演奏会用組曲を全曲編曲させていただきました。

 

くるみ割り人形は、小学校の音楽の時間に聴かされて以来、頭を押さえつけられるような重苦しさと、われわれの血の中にないモノを感じておりました。そのためか?最終の花のワルツまで聴き終えるのが辛かった思い出があります。

 

しかし、子どもの頃の体験はどのような道をたどろうとも、大きな意味を持つと思っております。歳を経て「あのときわからなかったコト」が理解できるようになれば面白いし、逆であってもその頃の精神状態を思い起こすことができる・・と思います。

 

ですから、今回の演奏会のような少し背伸びしたプログラムを鑑賞することは、お子さんだけではなく、大人においても将来の何かに役立つと思います。気づくことって、一瞬の記憶から始まるようにも思うんですよ。

 

それはともかくとして・・・

今回「くるみ割り人形」の譜面を細かく眺める機会を得られまして、子どもの頃に感じた近寄りがたさを音符を通してみることができました。この楽曲は映画「マトリックスの世界に似ているのではないか?と思いつつあります。

現実と思い込んでいる世界=幻想の世界であり、本当の自分(もう一つの自分)がいる世界は別にあり、別世界から幻想の世界を観察している作品であると感じます。そうなれば、子どもの頃に感じたわけもなく重苦しいと思える世界にも説明がつくかな?と思えました。

 

あのときは真正面から曲を聴いて、音の渦の中でもがいていたんですね。

 

楽譜には、しのびよる怪しい足音や、化け物(ねずみの集団?)のコサックダンス、箸をぽきぽき鳴らしつつ踊る中国の操り人形、偽物の金平糖(本物はウイルス?)のダンス、薬物(イスラム教徒にとってはコーヒーは薬だったそうな・・・)を飲んで踊るアラビアの世界、などが描かれ、われわれの脳にこれらの怪しい世界が刻み込まれていくことを、密やかに楽しんでいるように見えました。

 

メロディが覚えやすく、繰り返しが多いために、親しみやすいと思われがちですが、それは表の世界。

裏には現実と空想を分けることができなくなった病的な意識が溢れており、その辺を整理整頓するために、創作に力を注いでいたのかもしれません。

 

チャイコフスキーの本心、サガ(性)が、童話の世界を通して描かれておるのだと、勝手に決めつけております!

 

凝縮して音を使用してあるため、旋律を強める効果が高い。たとえば行進曲の提示部と再現部はGとDの音 中間部分はEの音(つぎの金平糖の踊りのbassのEを匂わせる)を中心とするなど、統一がなされているんですね。

 

で、トレパークは5度の動きを受け継ぎ、アラビアの踊りも5度の保続音的な音型、そして途中のつなぎの部分には、この5度を横の線として使い、楽器を受け渡します。つなぎが大変印象的。

子どもの頃はなぜこの部分があるのか、理解不能でした。学校では、コーヒーはアラビアだから、こーいう雰囲気なんだと先生が説明していた覚えがありますが、わたしはそれだけではないだろう・・と自問自答しておりました。

 

↓ ↓ 「くるみ割り人形より」アラビアの踊り(この動画を見ながら編曲のアイデアを膨らませました)


www.youtube.com

 

5度が最終曲の花のワルツにも受け継がれていき、華やかに終わりを迎えます。が・・・しかし 本当の終わりではないぞ といった曲集だと思っています。

 

↓ ↓チャイコフスキーの弟子が編曲した、ピアノソロの「花のワルツ」

カツァリス氏の演奏は大好きで、毎日聴いております。

youtu.be

 

 

ボレロなど、他の曲については、音源がアップされてから、別記事に書きます。

 

当日の演奏に対する印象です。

 

0歳からのお子さんを対象としていることで、原色の世界に彩られておりました。どんなに賢い子どもでも幼少の頃は、目がはっきりせず、  にしか反応できないときいたことがあります。それは音楽においても同じで、高度な芸術作品をもってきても、お子さんには理解不能なことが多いと聞いております。

 

人の原理に基づいた演奏であったと思います。

 

具体的には黒白はっきりしており、明るい雰囲気でした。テンポも早く、小さなお子さんたちや日頃音楽を聴き込んでおられない方々にとっては、爽快でわかりやすい演奏だったのではないでしょうか?

 

曲目も工夫されており、チャイコフスキーラヴェルの他に、アメリカの作曲家アンダーソンの作品もとりいれ、加えて、童謡のプログラムもあり、肩のこらない演奏会でした。

 

教育用作品をだいぶ昔に書いておりましたが、こんなに充実した感じではなかったです。費用もかかることですが、継続することが楽団の成功につながることと思われます。(結成して3年目と伺っております)

 

まだ、音源がアップされておりませんので、細かいことはアップされてからお伝えしましょう。