天空の縁側

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作曲家の目を通して、アートや日々の出来事などをあるがままに綴っていきます。

ショパンピアノソナタ3番1楽章〜提示部(2テーマから提示部終わりまで)

mizuki-shiro.hatenablog.com

 

上記の続きです。今回は2テーマから提示部の終わりまでの分析。念入りに譜面を眺めまして、ショパンが現代にも通じる展開方法をとっていたと感じました。古典を生かしつつも枠にはまらず、単純そうにみえても複雑な音の置き方をしていることに感嘆いたしました。

 

2テーマ

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2テーマの最初〜譜例7〜

音源:1’25”〜

調性は古典的なソナタの手法にのっとって、1テーマの平行調D-durです。曲調も歌的なメロディを分散和音の上で歌わせるという、古典的な手法をとっています。しかし、それだけでは終わらないのが天才ショパンの作曲法です。

左手の分散和音、一見したところ単なる伴奏のようにみえますが、いくつかの要素が絡み合っています。赤い丸をつけた音はこの作品のスピリチュアル的要素である、5と4(5度と4度)の音です。そして緑色の丸をつけた音は、オクターブ(5度+4度)です。ペダルを踏みますので、メロディの影で5と4の暗示を受け続けることになります。

5とは孤独、4とは父の暗示を持つ数字です。ショパンが数字の暗示を意識していたかどうかはわかりませんが、何らかの天啓を受けたのかもしれません。ショパンは天才であったことは否めない事実ですから・・・

右手のメロディ、1小節目の四角で囲んだ部分は、後に続く2つの展開部分の頭に、形を変えて置かれています。この部分があることで、自然な音楽の流れを感じることができるでしょう。

2小節目の4拍目から4小節目にかけて。D-durのⅠ度の構成音(青い丸)に飾り(倚音)を加えただけと思われるかもしれません。しかし、後に続く展開部分をみますと、そうではないことに気づかされます。

四角で囲んだ要素(2小節目4拍目のfis-cisの5度 3小節目3拍目の裏fis〜4拍目頭hの4度)2度によってつながれ、フレーズ頂点の音hへと導かれています。特にhとaからなる長2度(ピンクの丸)は重要な要素となって次の展開部分に現れます。

オレンジ色の線を引いた部分は、2回目の展開部分でアレンジされて現れます。

 2テーマの展開〜1〜

 

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2テーマ展開部1〜譜例8〜

音源:2’13”〜

 2分音符ー4分音符の連なり(四角で囲んだ部分)の合図を受けて、展開が始まります。

左手の16分音符は、1テーマの頭を意識した音型(緑色の線)ではないでしょうか?至るところに5度4度が見受けられ、孤独と父の暗示に彩られていることを感じます。

左手の音型、hとa(ピンクの丸)が強調されています。これは、2テーマ頭のメロディから受け継がれたエッセンス。hとaの音を右と左で受け渡し、静かな中で緊張を高めていきます。

特に右手2小節目のe-h 3小節目のfis-h(赤い四角)は大切。2小節目の右手に向かって左手でhを連打し強調、3小節目の右手のhに向けて1オクターブ下のaから訴えかけています。(ピンクの矢印)

 

下の譜例9は譜例8に呼応するフレーズです。

 音源:2’25”〜

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2テーマ展開部1〜譜例9〜

このフレーズは、提示部のコーダへのつなぎとして、形を変えて使われます。ショパン印象的なフレーズの前に、前触れを出すことがお得意だったようですね。

2テーマの展開〜2〜

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2テーマの展開部2〜譜例10〜

音源:2’37”〜

譜例8と同じく、 2分音符ー4分音符の連なり(四角で囲んだ部分)の合図を受けて、展開が始まります。ただしこの部分、和声づけにより複雑な音色となっております。

続く部分は右手の音型を、左手の和声として(緑色の丸と矢印)つかみ、受け渡していきます。上声部には、2テーマメロディのしっぽ(譜例9右手の4小節目)の縮小音型を加えつつ、反復進行が形成されます。

5 、4の暗示は多様性をもって展開され、他の要素と溶け合ってゆきます。父の死、孤独の葛藤が昇華されていきつつあることを、暗示しているのかもしれません。

 

提示部コーダへのつなぎ

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提示部コーダへのつなぎ〜譜例11〜

音源:2’57”〜

この部分は譜例9(2テーマの展開部分)にタネがあります。譜例9 譜例11の赤線で囲んだ部分をごらんください。同じ音列を使っています。譜例11では、音列を8度で受け渡し、内声に4度を用い、上声部にも4度を用いています。スピリチュアル的見地からみれば、4とは父、社会の暗示もありますので、亡き父への思いを昇華しつつ、新たな世界に進んでいこうとする思いが溢れているのではないでしょうか?

 

提示部のコーダ(終結部)

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提示部コーダのはじまり〜譜例12〜

音源:3’04”〜

印象的なつなぎを経て(譜例11)流れるようなコーダが始まります。1テーマの材料(トップのリンク 譜例1参照)から新たなフレーズが編み出されています。平静なる世界に身を委ねることができるのでしょうか?

 

コーダの終わりには下のようなフレーズが現れます。これは展開部への予兆というもの。この材料を使って展開部の導入部分が形成されております。

音源:3’43”〜

 

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コーダの終わり〜譜例13〜

2テーマ、コーダへのつなぎ 展開部など 印象的な部分には、前触れが出てきます。これは何を意味するのでしょうか?運命の予兆が具象化されていたのかもしれません。

音源

 

次回は↓↓展開部です。

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